【化学基礎】単体と元素の違いは?見分ける方法をご紹介
「下線で表している語が、単体と元素のどちらの意味で用いられているか答えなさい。」
こんな問題に悩まされている受験生はとても多いはず。
今回は、単体と元素の違いと、その見分け方をご紹介したいと思います。
見分け方がわからず困っている高校生、受験生の皆さん、ぜひみていってください。
☆ 単体とは
1種類の元素のみでできた物質。
すなわち、1種類の元素記号で化学式を表される物質のことを単体と言います。
参考書や教科書なんかには、「物質そのものを表す」と記載してあることが多いです。
☆ 元素とは
物質を構成する原子の種類のこと。現在およそ110種類の元素が世の中には存在しています。
参考書や教科書なんかには、「構成成分を表すときは元素の意味で使われている」と記載してあることが多いです。
…こんな風に改めて定義を確認してみましたが、いまいち違いがわからない方が多いと思います。
筆者はたくさんの人から単体と元素の見分け方を聞かれた経験があるのですが、
その中でも質問者のみなさんが1番しっくりきた表現を使って、単体と元素の見分け方を説明していきたいと思います。
☆ 単体と元素の見分け方
同じ酸素であったら、
単体はO2のことを言っていて
元素はO(原子)の話をしている。
すなわち、O2かOかの違いということになります。
なので、文章をみて、O2、N2(窒素)、H2の話をしているなと思ったら、それは単体を表しているし
文章をみて、O、N、Hの話をしているなと思ったら、それは元素を表しているわけです。
単体と元素を見分ける問題があったら、それが「O2」の話をしているのか「O」の話をしているのかを考えてください。
例題を解きながら、さらに詳しくみていきたいと思います。
☆ 例題
問 次のア〜オの文章をみて、下線を引いた語が単体の意味を表しているか、元素の意味を表しているのか分類しなさい。
ア 植物の光合成により、酸素が生じる。
イ 水分子は水素と酸素から構成される。
ウ メタンの燃焼には酸素が使われる。
エ オゾンは酸素より酸化力が高い。
オ 酸素には同素体が存在する。
どうでしょうか。先ほどお伝えした見分け方で分類できたでしょうか。
次の文章で答えを記載しますので、まだ解き終わっていない方は問題を解いてから答えを見るようにしましょう。
問の答え
単体 ア、ウ、エ 元素 イ、オ
このようになっています。
☆ 例題の詳しい解説
アの文章
光合成によって生じたのは、O(原子)ではなくO2ですよね。呼吸に必要なのも、OではなくO2です。
よって、この文章は単体の意味を表しています。
これ以外の問題でも、基本的には化学反応式で書き表されるような文章は単体の意味で用いられていることが多いです。
(化学反応式中に、原子は書かないですよね。書くのは単体のO2とかです。)
イの文章
水分子はH原子が2つと、O原子1個から構成されています。決して、水素分子H2が2つと、酸素分子O2が1つから構成されているわけではないですよね。
よって、この文章は原子を表しているので、元素の意味で用いられています。
ウの文章
メタン(有機物)が燃焼(酸素と化合)して、水と二酸化炭素ができる反応です。化学反応式で表すことができます。
ということは、O2の意味で使われていますので、答えは単体です。
エの文章
オゾン(O3)は酸素(O2)よりも酸化力が強い。オゾンより酸化力が弱いのはOではなくO2です。
よって、単体の意味で使われています。
オの文章
同素体の定義を思い出してください。
同じ元素だけど、化学的な性質が違うもの同士のことを同素体と言いましたね。
定義から見ても、
同じO2だけど、という意味ではなく、同じOだけどという意味で使われているのがわかるのではないかなと思います。
よって、Oの意味で用いられているので、この文章の酸素は元素の意味を持っています。
☆ 最後に
元素と単体の見分け方、お分かりいただけたでしょうか。
これは特に共通テストでよく見かけるタイプの問題となっています。
みなさんにとって、この手の問題が得点源となるように願っています。
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
またぜひ、当ブログにお越しください。