【高校化学】冷却曲線と凝固点降下の関係性を徹底解説!過冷却はなぜ起こるの?
凝固点降下の分野で出てくるのが、冷却曲線の問題です。
冷却曲線は最終的には下へと傾いていますが、その理由は何なのか
そもそも過冷却とは何なのか、など。
記述問題が問われやすい分野となっています。
今回は、凝固点降下の分野でよく問われる冷却曲線について、原理から徹底解説していきたいと思います。
冷却曲線と状態図の関係性、過冷却とは何なのかをわかりやすく説明していきますので、ぜひご覧ください。
☆ 冷却曲線とは
冷却曲線とは、物体が液体から固体に凝固するときの温度変化を表したグラフとなっています。
皆さん、物質の三態の分野でこのようなグラフを見たことがあると思います。
純物質を冷却して、気体から液体、液体から固体に状態変化するときの温度変化を表したグラフです。
固体と液体が共存しているときや液体と気体が共存しているときに温度変化がないのは、状態変化にエネルギーを全て使ってしまうから、ってやつです。
このようなよく見るグラフの、液体が固体に凝固するまでの温度変化を切り取ったのが冷却曲線です。
ちなみに上の図っていうのは、純物質における冷却曲線となっています。
入試によく出る、凝固点降下とからめた冷却曲線は下のようになります。
これが純物質(溶媒)に何かが溶けた希薄溶液の冷却曲線となっています。
純物質(溶媒のみ)の冷却曲線と希薄溶液の冷却曲線の何が違うのかに注目しながら、冷却曲線について詳しく読み取っていきたいと思います。
☆ 純溶媒と希薄溶液の冷却曲線の違い
純溶媒と希薄溶液の冷却曲線の違いは2つあります。
① 過冷却と呼ばれるグラフが凹んでいる部分がみられる。
② グラフのx軸の最後の方が右肩下がりである。
の2つです。
それぞれ紐解いていこうと思います。
☆ 過冷却とは
グラフの凹んでいるところは、希薄溶液が過冷却となった状態です。
過冷却とは、凝固点になっているのに状態変化が起こらず、温度が下がり続ける現象のことをいいます。
過冷却が起こるメカニズムは、大学入試では問われることはありません。
一応興味がある人向けに説明しておくと、
物質が凝固するためには、中心となる「核」が必要です。
核の周りを取り囲んでいくように、物質というのは凝固が起こっていくのです。
希薄溶液の場合、溶質粒子が邪魔をするため、「核」ができづらくなっています。
核がなかなかできない結果として、凝固点以下になっても状態変化(凝固)が起きない過冷却状態となるのです。
あくまでも溶質粒子が核を作るのを邪魔することによって過冷却は起こるので、邪魔する粒子がない純溶媒の冷却曲線では過冷却は見られません。
また、下の図でいう直線deの延長線と、曲線acの交点であるbの温度が希薄溶液の凝固点となりますので確認しておきましょう。
ベースは純溶媒の冷却曲線と同じだと思えば、がっつりの暗記でなくても答えることができそうですね。
☆ 希薄溶液の冷却曲線の最後が右肩下がりのわけ
上のグラフの囲んだ部分のように、希薄溶液の冷却曲線は最終的に右肩下がりになります。
その理由を入試問題で記述として問われやすいので、しっかり確認しましょう。
先に結論をいうと
冷却曲線の液体と固体が共存している部分が右肩下がりになる理由は、溶媒に対する溶質粒子の濃度が増加し、凝固点降下が進行するためです。
物質が凝固するとき、固まるのは溶媒であって、溶質は凝固しません。
なので、溶液を冷やせば冷やすほど、溶媒のみが凝固し、溶質は溶液に溶けたままになります。
溶媒は凝固によって溶液にある粒子数が減少するのに、溶質の溶液中の粒子の数は変化しません。
すると、相対的に溶媒に対する溶質粒子の数が増えていくため、凝固点降下が起こり、冷却すればするほどグラフは右肩下がりになっていくのです。
(凝固を邪魔する溶質粒子の数が多いほど、凝固点降下も大きくなります。凝固点降下の記事はこちら。)
【高校化学】凝固点降下の原理をわかりやすく徹底解説!なんで電解質の方が方が凝固点が下がりやすいの? - 化学の偏差値が10アップするブログ
☆ まとめ
希薄溶液の冷却曲線には、純溶媒の冷却曲線と違って過冷却がある。
希薄溶液の冷却曲線の最後が右肩下がりなのは
溶媒だけが凝固し、溶媒に対する溶質の量が増加し、凝固点降下が起こったため。
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
またぜひ、当ブログにお越しください。