【高校化学】中和滴定の実験の原理や計算問題を徹底解説!中和の計算式はここだけを気をつけて!
中和の計算式、意味はわかっていないけど、とりあえず公式に当てはめている人は多いですよね。
そして、公式で対応できない問題が来ると、混乱してしまうのもよくあることだと思います。
今回は中和滴定の実験の基本的な原理と計算問題を徹底解説していこうと思います。
中和滴定の計算に苦手意識がある方、ぜひみていってください。
☆ 中和滴定とは
中和滴定とは、酸と塩基の中和反応を用いて、(酸・塩基の)モル濃度を求める実験のことをいいます。
濃度がわからない酸あるいは塩基の濃度を、濃度がわかっている酸あるいは塩基で求めるわけです。
その原理については、後ほどお伝えします。
☆ 中和滴定の原理
中和滴定の実験や計算で押さえておかないといけない大切なポイントは、
酸(H+)のmol = 塩基(OH−)のmol
になったときに中和滴定は終わる、ということです。
同じように、中和滴定の計算では
酸(H+)のmol = 塩基(OH−)のmol
の式を作っていきます。
酸(H+)のmol = 塩基(OH−)のmol
本当に大切なので、しつこいくらい書きます、笑
中和滴定のざっくりとした原理としては、
濃度がわかっている酸あるいは塩基に指示薬を入れます。
指示薬というのは、中和点(H+=OH−になる点)になったら色が変化する試薬のことです。
濃度がわかっている酸あるいは塩基に、少しずつ濃度がわかっていない酸あるいは塩基を入れていきます。
すると、中和点になった瞬間に溶液の色が変わりますよね。
あとは、色が変わった瞬間について、求めたいものをxとおいて、
酸(H+)のmol = 塩基(OH−)のmol
の方程式を作れば、濃度がわかっていない酸あるいは塩基の濃度を求めることができる、ということになります。
細かい話は実験操作でお話ししたいと思います。
☆ 中和滴定の実験操作
・中和滴定の器具
まずは、中和滴定で使う4種の神器について確認しましょう。
この4つの器具の名前はしっかりと覚えてください。そのまま入試で出題されます。
器具でもう一つ押さえておかないといけないポイントとしては、
ホールピペット、ビュレットは共洗いが必要、コニカルビーカー、メスフラスコは共洗いが不要ということです。
めっちゃ大切です。
共洗いとは、その器具を使う前に、用いたい液体でその器具を洗う操作のことをいいます。
塩酸を使いたかったら、塩酸でその器具を洗っておく、ということですね。
なぜ、ホールピペットとビュレットは共洗いが必要で、その他が不要なのかというと、
各器具の使用用途にヒントがあります。
ホールピペット … 正確な濃度の溶液を、決まった体積で測り取るための道具
ビュレット … 正確な濃度の溶液を、決まった体積だけ、先端から別のものに入れる道具
コニカルビーカー … 中和滴定に用いられるビーカー
メスフラスコ … ある一定の濃度の溶液を作るための道具
ホールピペットとビュレットは正確な濃度の溶液を用いる道具です。
もしホールピペットとビュレットが水で内部が濡れていたら?
そのままこれらの道具を用いたら、溶液が水で薄まって、濃度が変わってしまいますよね。
濃度の変化を防ぐために、事前に用いる溶液で洗っておくのが共洗いの操作です。
よって、ホールピペットとビュレットは共洗いが必要、あとの2つは共洗いが不要となります。
・ 中和滴定の具体的な実験操作
実験操作を見ていきましょう。
今回は濃度がわかっていない市販のお酢(=酢酸)の濃度を中和滴定で求めたいと思います。
① (今回の場合は塩基の)正確な濃度の溶液をつくる
今回は酸(酢酸)の濃度が未知なので、正確に濃度がわかっている塩基が必要です。
そこで使う道具がメスフラスコです。
例えば、0.1 mol/Lの塩基を作りたいとしたら
0.1 molの塩基をメスフラスコに入れて、後入れで水を標線まで入れれば作れます。
ここで共通テストでよく出題されるのが、水は必ず後入れで入れるということ。
1L事前に用意した水に0.1 mol分の塩基を溶かすのはNGです。
なぜかというと、物質が溶けるときというのは体積が変化するから。
1L事前に用意した水に0.1 mol分の塩基を溶かしたら、溶かしたあとの溶液は1Lにはなりません。
少しだけ1Lを超えてしまいます。
体積が解けた後もちょうど1Lになるように、水は後から入れて体積を調節するのが正しい方法となっています。
② 濃度がわかっている方をビュレットに、濃度未知のものをコニカルビーカーに入れる
どちらも入れる前には共洗いが必要です。
コニカルビーカーの中には指示薬も入れましょう。
今回の場合は、コニカルビーカーに10 mL分のお酢を、ビュレットには①で作った正確な濃度の塩基を入れます。
③ 滴定開始!
ビュレットのコックを開け閉めしながら、少しずつコニカルビーカーに塩基を垂らしていきます。
すると、中和点になったとき、コニカルビーカーの中の溶液の色が変化します。
中和点までに入れた塩基の体積を、ビュレットの目盛りを読み取って記録しておきます。
以上で中和滴定の操作は終わりです。
中和滴定の流れを図で表すと下のようになります。
それでは計算に入っていきましょう。
☆ 中和滴定の計算
しつこいようですが、中和点では
酸(H+)のmol = 塩基(OH−)のmol
の関係性になっています。
なので、
酸(H+)のmol = 塩基(OH−)のmol
の方程式を作るのが、中和滴定の計算の基本です。
一応公式もありますが
公式で対応できないものが多くあるので、酸(H+)のmol = 塩基(OH−)のmolをベースに自分で方程式を作ることを強くお勧めします。
今回の実験結果は、このようになりました。
この結果を用いて、中和の方程式を作ると次のようになります。
どうでしょうか。いけそうですか?
中和のよくある練習問題を解いてみましょう。
☆ 中和の計算、練習問題
(1)0.4 mol/Lの硫酸 20 mLに中和に必要な1.0 mol/Lの水酸化ナトリウムは何mLか求めなさい。
(答え)
(2)水酸化カルシウム1.85 gに必要な2.0 mol/Lの酢酸は何mLか求めなさい。
(答え)
☆ まとめ
中和滴定とは
酸(H+)のmol = 塩基(OH−)のmol
の方程式を作ることによって、未知の酸あるいは塩基の濃度を求める実験
ビュレット、ホールピペットは共洗いが必要
コニカルビーカー、メスフラスコは共洗いが不要
である。
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
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