【化学基礎】中和滴定の指示薬の種類と使い分けについて徹底解説!使える試薬と使えない試薬のその理由は?
指示薬の色の変化はなんとなく覚えたけど、
どういう時にどの指示薬を使うのか、その選定に迷う人は多いですよね。
今回は、
指示薬の種類とその使い分け方法について、徹底解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
☆ 指示薬とは
指示薬とは、ざっくりというと
中和滴定において、中和点を見つけるための薬のことをいいます。
もうちょっと厳密な定義をいうと、
指示薬とは、pHによって色が変化する薬のことをいいます。
ここからもう少し詳しく、指示薬の定義とその利用について確認していきます。
☆ 指示薬の種類と変色域
・変色域
どの指示薬においても、変色域と呼ばれるものがあります。
変色域とは、
色が切り替わるタイミングのpHのことを指します。
指示薬を理解するためには、
①変色域、②色の変化、③どういう中和滴定に使える指示薬なのか
という3つのポイントが大切です。
この3つのポイントに着目しながら、覚えるべき指示薬について確認していきましょう。
・ 覚えるべき指示薬
みなさんが使い分けできて欲しい、特に大切な指示薬は2種類あります。
1つ目がメチルオレンジ
変色域がおおよそ3.0〜4.5。
変色域を挟んで、酸性側(赤)↔︎塩基性側(黄)に色が変化します。
2つ目がフェノールフタレイン
変色域がおおよそ8.0〜10.0。
変色域を挟んで、酸性(無色)↔︎塩基性側(赤)に色が変化します。
この2つは絶対に変色域、色の変化ともにしっかりと覚えてください。
他にも名前は知っておいた方がいい指示薬として、メチルレッドとBTB液がありますが
入試で深く問われることは少ないので、なんとなく知っている程度で良いでしょう。
☆ 指示薬の使い分けについて
指示薬の使い分けの問題で問われるのは、
メチルオレンジとフェノールフタレインの2つだけです。
どういった場合がフェノールフタレインで、どういった場合がメチルオレンジなのか、しっかりと判断できるようになりましょう。
まず、指示薬を使う目的は、中和滴定において
「中和点を見つけること」です。
どうやって指示薬が中和点を見つけるのかというと、
「色の変化」が起こることによって、中和点を見つけることができます。
指示薬が色が変わる瞬間は、変色域のpHになった瞬間です。
よって、変色域と中和点が一致しないと、中和点を見つけることはできません。
例えば、
酢酸(弱酸)と水酸化ナトリウム(強塩基)の中和点は強い方の性質が勝つので、塩基性です。
(詳しくはこちらの記事で取り上げています。
【化学基礎】塩の加水分解をわかりやすく徹底解説!なぜ強酸と弱塩基の塩は酸性になるの? - 化学の偏差値が10アップするブログ)
この中和滴定で変色域が酸性寄りのメチルオレンジを使っても、中和点を見つけることはできませんよね。
メチルオレンジの変色域(色が変わるタイミング)は酸性よりなので、中和点(塩基性)では色の変化がありません。
中和点が塩基性のものの中和点を見つけるためには、変色域が塩基性であるフェノールフタレインを使う必要があります。
中和滴定においては、
指示薬の変色域と中和点が一致する指示薬を選んであげる必要があります。
よって、
メチルオレンジは中和点が酸性のもの
フェノールフタレインは中和点が塩基性のもの
の中和滴定において使用することができます。
☆ 指示薬の使い分けの例題
最後に例題に取り組んで、理解度を確認していきたいと思います。
(問題)
① 硫酸と水酸化マグネシウムの中和滴定において、最も適当な指示薬を答えなさい。
② シュウ酸と水酸化カルシウムの中和滴定において、最も適当な指示薬を答えなさい。
(解答と解説)
① メチルオレンジ
硫酸(強酸)と水酸化マグネシウム(弱塩基)の中和滴定なので、中和点は酸性です。
よって、変色域が酸性側にあるメチルオレンジが適当です。
シュウ酸(弱酸)と水酸化カルシウム(強塩基)の中和滴定なので、中和点は塩基性です。
よって、変色域が塩基性側にあるフェノールフタレインが適当です。
☆ まとめ
指示薬とは、
PHによって色が変化する試薬で、主に中和点を見つけるために利用される。
メチルオレンジは酸性の中和点を持つとき
フェノールフタレインは塩基性の中和点を持つときの
中和滴定に利用される。
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