【高校化学】理想気体とは?実在気体との違いを簡単に解説!圧縮率因子とは
理想気体と実在気体の違いがイマイチよくわからない、
違いをなかなかイメージしづらい、
そう考えている人は、多いと思います。
今回は理想気体と実在気体の違いを、わかりやすく徹底解説していきたいと思います。
ぜひ、最後までご覧ください。
☆ 理想気体と実在気体の違い
理想気体とは、
分子自身の体積がなく、分子間力が働いていない気体のことをいいます。
理想気体は、理想気体の状態方程式が常に成立する気体です。
反対に実在気体とはなんなのかというと、理想とはちがう現実に存在している気体のことで、
理想気体とは反対に
・自身の体積が存在していて、
・分子間力が働いている
理想気体の状態方程式が成立しない気体のことをいいます。
ここからは「圧縮率因子」という概念を使って、実在気体と理想気体との違いをより細く見ていきたいと思います。
☆ 圧縮率因子
圧縮率因子とは、n=1molのときのPV/RTの値のことをいいます。
まだピンとこないと思います。
理想気体の状態方程式PV=nRTに、(圧縮率因子とはn=1molのときの気体の話なので)n=1を代入すると、
PV=RTと変形することができ、それをさらに式変形すると、1=PV/RTとなります。
PV/RT=1となるのは、理想気体のときのみです。
つまり、何がいいたいのかというと、
圧縮率因子とは、PV/RTの値のことで、理想気体の圧縮率因子は「1」となります。
よって、圧縮率因子が「1」から離れていれば離れているほど、理想気体から遠ざかっているということになります。
圧縮率因子は、理想(気体)と現実(気体)の差がどれくらいあるのかを表す指標なわけです。
ここからは実在気体の圧縮率因子の値がどのようになっているのかを確認していきましょう。
☆ 実在の気体の圧縮率因子
実在気体と理想気体との違いは「分子間力があること」と「自分自身の体積があること」です。
「分子間力があること」と「自分自身の体積があること」が圧縮率因子にどのような影響を与えているのか
1つずつ確認していきたいと思います。
・分子間力の影響
まず、大前提としておさえて欲しい知識があります。
気体の体積とは、「気体の粒子が動いている範囲のこと」をいいます。
これを踏まえて見ていきましょう。
実在気体は分子間力が働いているので、
理想気体よりも、熱運動が緩やかになっています。
分子同士がガッツリ手を結んでいるので、身動きが取りづらい状況です。
よって、実在気体は理想気体と比べて動ける範囲、すなわち気体の体積が小さくなります。
その結果、圧縮率因子の値は1よりも小さくなります。
よく理想気体と実在気体の範囲で見られる圧縮率因子のグラフがありますが(下の画像のようなもの)
分子間力が強く働けば働くほど、気体の体積は小さくなり、グラフは下のほうにずれ込みます。
分子間力は分子量が大きい物質ほど強く働くので、分子量が大きい物質ほど圧縮率因子のグラフは下に大きくずれ込むことになります。
(だから、上の画像でも分子量が1番大きいCO2が、1番大きくグラフの下にずれ込んでいますね。)
・分子自身の体積の影響
結論から先に行ってしまうと、分子自身の体積があると気体の体積は大きくなります。
繰り返しますが、気体の体積は「気体が動いている範囲のこと」です。
分子自身の体積がある場所には気体は動くことができないので、自ずと気体が動く範囲は大きくなってしまうのです。
分子自身の体積だけ、かさ増しされると考えたらわかりやすいかもしれません。
よって、圧縮率因子の値は大きくなり、圧縮率因子のグラフは1よりも大きくなります。
☆ どうすれば実在気体は理想気体に近づくことができるか
理想と現実のギャップは大きいですね。
では、どうすれば実在気体は理想気体に近づくことができるのでしょうか。
実在気体が理想気体に近づくには
高温・低圧にすればいいです。
高温にして熱運動が激しくなれば、分子間力をぶち切ることができます。
分子間力の影響が無視できるようになるのです。
低圧にすると、分子自身の体積が無視できるようになります。
低圧にすると分子同士の距離が遠くなります。
単位体積あたりの分子の体積が小さくなるのです。
☆ まとめ
実在気体と理想気体の違いは
・分子自身の体積があるかどうか
・分子間力が働いているかどうか
である。
圧縮率因子は、理想気体と実在気体のギャップを知るための値で
圧縮率因子が1から離れているほど、理想気体とは遠い状態の気体である。
理想気体に近づくためには、高温・低圧にすればいい。
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