化学の偏差値が10アップするブログ

化学の偏差値が10アップするブログ

「原理」をしっかり学ぶことで、皆さんの化学の偏差値を上げる手助けをするブログ。主に高校化学の内容の解説や勉強方法を発信しています。

【高校化学】電離平衡とは?公式や近似の方法を酢酸やアンモニアを用いて徹底解説!

 

f:id:nobita_60:20201212095810j:image

 

電離平衡の原理がいまいちよくわからないので、公式を丸暗記している。

…そんな人は、結構多いはず。

 

今回は、複雑に思われがちな弱酸や弱塩基の電離平衡の公式の導き方を、酢酸やアンモニアを例に徹底解説していきたいと思います。

 

公式を丸暗記するというよりかは、公式の導入が入試で問われやすいです。

しっかりと理解しながら、公式を自分自身で導けるようにしていきましょう。

 

 

☆ 電離平衡とは

 

電離平衡とは、弱酸や弱塩基の電離における平衡状態のことをいいます。

 

強酸・強塩基というのは、ご存知の通り、

水素イオンや水酸化物イオンをたくさん出す酸や塩基のことをいいます。

水素イオンや水酸化物イオンをたくさん出すということは、言い換えると、ほぼ完全に電離をするということです。

 

f:id:nobita_60:20201212095823j:image

よって、強酸や強塩基の電離は多くの場合、不可逆反応となりますので平衡状態にはなりません

 

一方、今回の話の中心となる弱酸と弱塩基は、水素イオンや水酸化物イオンを出す力があまり大きくない酸や塩基のことをいいます

水素イオンや水酸化物イオンを出す力が大きくないので、あまり電離をしません。よって、弱酸や弱塩基は電離度が小さくなります

f:id:nobita_60:20201212095906j:image

さらにいうと、弱酸や弱塩基の電離度はほぼ0に近い状態となります。(ゼロではないです。)

 

弱酸や弱塩基はあまり電離をせず、

分子が電離をしてイオンになる反応と、電離したイオンが分子に戻る反応が絶えず起こっている平衡状態にあります

f:id:nobita_60:20201212095839j:image

この平衡状態が、弱酸や弱塩基における電離平衡であり、この時の平衡定数を電離定数といいます。

 

以上のことを踏まえて、電離平衡における公式を導いていきましょう。

 

 

☆ 弱酸・弱塩基の電離平衡の近似

 

化学平衡の計算に取り組む時は、「反応前・変化量・反応後」に分けて計算していくのがテッパンの方法でした。

ということで、弱酸である酢酸を例に反応前後・変化量の表を作っていくと下のようになります。

 

f:id:nobita_60:20201212095935j:image

 

ここで確認したいのが、弱酸・弱塩基において、電離度が非常に小さい時(具体的にいうと電離度α=0.05以下の時)は

1ーα=1と近似できるということです。

 

弱酸・弱塩基というのは、電離度がとても小さい酸や塩基のことを言いました。

問題文に記載があったり、計算した電離度が0.05以下の場合は、

弱酸・弱塩基分子はほぼ電離していないものとしてみなして、αをほぼ0と近似することができるのです。

(生成物のαを近似すると値が0になってしまうため、反応物のみ近似をします。)

 

よって、近似後の反応後の組成は次のようになります。

f:id:nobita_60:20201212095950j:image

 

 

☆ 酢酸や弱塩基の公式

 

近似後の値を平衡定数の式に代入すると次のようになります。

 

f:id:nobita_60:20201212100005j:image

 

今回例としてあげた酢酸は酸ですので、酸(acid)の頭文字をとって電離定数をKaと表します。

塩基の時は、塩基(base)の頭文字をとって電離定数はKbと表されます。

 

電離定数Kaの式から、電離定数で使用頻度の高い公式を導いていきましょう。

 

 

・ 電離定数の公式 

 

先ほどの電離定数Kaをさらに変形していくと次のようになります。

 

f:id:nobita_60:20201212100450j:image

 

よって、電離定数Kaを表す公式は

 

f:id:nobita_60:20201212100459j:image

 

となります。

 

・ 電離度αの公式

 

電離度αを求める公式を確認していきます。

電離定数の式を変形すると、電離度αを表す公式は

 

f:id:nobita_60:20201212100106j:image

 

となります。

 

・ 水素イオン濃度(pH)を求める公式

 

電離平衡の反応前後・変化量の表から、水素イオン濃度は次のような式で表されるのでした。

 

f:id:nobita_60:20201212100510j:image

 

ここ、先ほどの電離度αの公式を代入して変形すると、水素イオン濃度の公式を導くことができます。

 

f:id:nobita_60:20201212100519j:image

 

ちなみに、水素イオン濃度を求めることができれば、pHも自動的に求めることができます

 

 

アンモニア(弱塩基)の電離平衡

 

アンモニアの電離平衡も、基本的には酢酸の電離平衡と考え方は同じです。

弱酸の公式の中の電離定数KaをKbに置き換えるだけとなっています。

 

ただ、アンモニアはブレンステッドローリーの塩基ですので、電離をして水酸化物イオンを出すわけではありません。

水分子から水素イオンを受け取ることで、水中では水酸化物イオンアンモニウムイオンの形で存在しています

 

f:id:nobita_60:20201212100137j:image

 

この電離平衡の式には水分子が含まれていますが、

アンモニアと反応している水分子はごくわずかであり、アンモニアと反応している水分子以外にもたくさんの水分子が水溶液中には存在しているはずです。

 

よって、アンモニアの電離平衡において水分子は大量にあるものとしてみなし、定数として扱います

要するに水分子を無視して、平衡定数の立式をしても良いということです。

 

f:id:nobita_60:20201212100146j:image

 

水分子を無視できることが、唯一弱酸の電離平衡との違う点ですので、しっかりと確認しておきましょう。

 

 

☆ まとめ

 

電離平衡とは

弱酸・弱塩基において、分子が電離をしてイオンになる反応とイオンが分子に戻る反応との平衡状態のことである。

 

弱酸・弱塩基における公式一覧は次のようになっている。

 

f:id:nobita_60:20201212100156j:image

 

化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。

またぜひ、当ブログにお越しください。