ダイヤモンドと黒鉛の関係性や違いは?黒鉛が電気を通す理由を徹底解説!【同素体】
ダイヤモンドと黒鉛。どちらも同じ炭素という元素です。
だけど、ダイヤモンドは電気を通さないが黒鉛は電気を通す、などの化学的な性質の違いがあります。
今回は、ダイヤモンドと黒鉛の化学的な性質の違いや、黒鉛が電気を通してダイヤモンドが電気を通さない理由などを徹底解説していきたいと思います。
記述問題として問われやすい分野ですので、ぜひ最後までご覧ください。
☆ ダイヤモンドと黒鉛の関係性
最初に簡単な言葉の確認からしていきます。
黒鉛とダイヤモンドは同じ炭素という元素ですが、化学的な性質に違いがあります。
このように、同じ元素で化学的性質が違う元素同士の関係性のことを同素体といいます。
同素体の関係性を持つ元素は高校化学において、硫黄、炭素、酸素、リンの4つだけです。
同位体という言葉と混同しやすいので、注意しましょう。
※ 実際、共通テストの正誤判定問題などで、同素体を同位体と表す引っ掛け問題が数多く出題されています。
☆ ダイヤモンドと黒鉛の違い
ダイヤモンドと黒鉛は、それぞれ次のような特徴を持っています。
<ダイヤモンド>
・ 非常に硬い。
・ 電気を通さない
・ 光沢あり、キラキラと輝く
<黒鉛>
・ 柔らかく、壊れやすい
・ 電気を通す
ちなみに、1番身近にある黒鉛としてあげられるのは、鉛筆の芯やシャーペンの芯です。
シャーペンの芯が簡単に折れてしまうことから見ても、黒鉛が柔らかく壊れやすいのは想像が容易いのではないかと思います。
また、特に大切な両者の違いは、
電気を通すか通さないか、そして、結晶の硬さ(柔らかいか固いか)ということです。
この2つの違いは記述問題で問われやすいので、しっかりと確認していきましょう。
☆ ダイヤモンドが硬くて、黒鉛が柔らかい理由
ダイヤモンドと黒鉛の硬さの違いは、結晶構造に理由があります。
まず、ダイヤモンドの構造から見ていきましょう。
ダイヤモンドは、炭素原子が全て共有結合によって正四面体状に並んだ結晶構造をしています。
共有結合は、最も硬い結合の一種です。全ての結合が共有結合でできていますので、硬くで壊れにくいという性質を持ちます。
一方、黒鉛の構造は下のようになっています。
黒鉛は、共有結合によってシート状に炭素原子が結合しています。
共有結合によって、薄っぺらい紙状の構造を作っているのです。
そして、そのシート同士は分子間力(ファンデルワールス力)によって結びついています。
結合力の強さは、共有結合>>>>>>>分子間力、です。
共有結合に比べると、分子間力による結びつきはとてつもなく弱いです。
なので、黒鉛は分子間力が働いている方向に垂直に力を加えると簡単に結合が切れてしまいます。
シャーペンの芯がすぐ折れるのは、分子間力が切れているのですね、笑
このような構造上の理由から、ダイヤモンドは硬く、黒鉛は崩れやすいという特徴を持ちます。
☆ ダイヤモンドが電気を通さず、黒鉛が電気を通すわけ
こちらも構造上の理由になっています。
ところで皆さん、炭素原子の電子式はどのような感じだったか覚えていますか。
そうです。炭素は14族なので、最外殻電子は4つ。
不対電子も4つですので、共有結合も4つ作れるわけです。
ダイヤモンドの構造を見ていると、4つの不対電子のうち4つ全てを使って共有結合をしているため
電気を運んでくれる粒子が存在せず、電気を通しません。
一方、黒鉛は4つの不対電子のうち3つを使って共有結合をしています。
では、余った電子はどうなっているのかというと、自由電子となって炭素の結合間を自由に行き来しています。
余った一個の電子が自由電子となって電気を運んでくれるので、黒鉛は電気を通します。
☆ まとめ
ダイヤモンドが硬い理由は、全ての結合が共有結合で繋がっているから。
黒鉛が柔らかい理由は、共有結合によりペーパー状の構造が形成されており、ペーパー同士は弱い分子間力によって繋がっているから。
ダイヤモンドが電気を通さない理由は、4つの不対電子を全て使って結合を形成しているため。
黒鉛が電気を通す理由は、4つの不対電子のうち3つが結合に使われており、余った1つは自由電子として電気を運ぶ働きをしているから。
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
またぜひ、当ブログにお越しください。