【高校化学】元素分析の原理や装置、計算方法について徹底解説!装置を逆にしてはいけない理由は?
有機化学の構造決定問題の1番初めに出てきがちなのが元素分析。
ここでミスをすると、大問1つ分、まるまる点数を落としてしまうことになりかねないので、確実に解いていきたいですよね。
今回は、有機化学を学ぶうえで外せない元素分析について、原理や装置、計算方法を徹底解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
⭐︎ 元素分析とは
元素分析とは、有機物中の元素の組成を決定する操作となっています。
有機物とは、主に炭素C・水素H・酸素Oからなる物質のことをいいましたね。
有機物の中に入っている炭素C・水素H・酸素Oの数の比を決定するのが元素分析となっています。
つまり、組成式(※元素を最小の比で表したもの)を決定する方法となっています。
⭐︎ 元素分析の原理
元素分析は、炭素・水素・酸素の数の比を決定するのが目的です。
炭素・水素・酸素の比を求めるためには、炭素・水素・酸素をバラバラに取り出せば良いのです。
この「バラバラ」に取り出す、というのがキーポイントなのでしっかりと確認しておいてください。
では、どうやってバラバラに炭素・水素・酸素を取り出すのかというと、
燃焼反応によって、炭素・水素・酸素を取り出していきます。
有機物の炭素Cは二酸化炭素として、水素Hは水としてバラバラに取り出すことができるのです。
もとの有機物の質量から、炭素と水素の質量を引けば酸素Oの数も知ることができます。
⭐︎ 元素分析の装置
元素分析の装置は入試問題で頻出です。
しっかりと確認していきましょう。
元素分析の装置は以下のようになっています。番号を振りましたので、番号順に見ていきたいと思います。
ポイント① 酸化銅を入れる理由
元素分析を始める際には、有機物を酸化銅CuOと共に入れて燃焼します。
燃焼することによって、有機物中の炭素は二酸化炭素に、水素は水となるのです。
よく入試で問われやすいのは、「酸化銅を一緒に入れる理由」です。
なぜ、酸化銅を一緒に入れて燃焼するのかというと、「有機物の不完全燃焼を防ぐため」となっています。
有機物中の炭素の一部は燃焼が不十分で、二酸化炭素CO2ではなく一酸化炭素COとなっています。
一酸化炭素COの状態だと、後述しますが、有機物の炭素Cをバラバラに、なおかつ漏れなく吸収するのが難しくなってしまいます。
したがって、酸化剤であるCuOを入れることで、一酸化炭素COをすべて、二酸化炭素CO2にしています。
ポイント② 塩化カルシウムCaCl2で水を吸収する
塩化カルシウムCaCl2は代表的な中性の乾燥剤です。
乾燥剤を使って、水のみをバラバラに取り出します。
ポイント③ ソーダ石灰で二酸化炭素を吸収する
ソーダ石灰(NaOH+CaO)は水酸化ナトリウムが入ってることからもわかるように、塩基性の物質です。
なので、酸性物質である二酸化炭素と中和を起こします。
中和反応を利用して、二酸化炭素のみをバラバラに取り出しています。
⭐︎ 元素分析の流れ
元素分析の一連の流れを図で確認していきましょう。
以上の流れにより、有機物中の炭素と水素をバラバラに取り出しています。
⭐︎ 塩化カルシウムとソーダ石灰は逆にしてはいけない!
この理由はよく記述問題で出題されますので、しっかりと確認しておきましょう。
試しに逆にしてみた場合、どうなってしまうのかを確認していきたいと思います。
ソーダ石灰は塩基としての機能も持っていますが、乾燥剤としても働くことができます。
なので、ソーダ石灰のもとに流れ着いた二酸化炭素と水を同時に吸収してしまいます。
これだと炭素と水素をバラバラではなく、同時に取り込んでしまうことになるので
炭素と水素の独立した質量や数を把握するのは難しくなってしまいます。
⭐︎ 元素分析の計算方法
最後に、元素分析の実際の計算方法について確認していきましょう。
(例題)
有機化合物A 51 mgを燃焼させると、CO2が132 mg、H2Oが27 mg精製した。有機化合物Aの組成式を求めなさい。
(解説)
まずは、炭素C・水素H・酸素Oの質量を出していきます。
元素分析の目的はあくまでも組成式(数の比)を求めることですので、質量(mg)を個数(mol)に単位変更していきます。
最後に簡単な整数比を出して完成です。
⭐︎ まとめ
元素分析とは、
炭素C・水素H・酸素Oをバラバラに取り出すことによって、組成式(個数の比)を求める方法。
水素Hは、水H2Oとして塩化カルシウムCaCl2で
吸収する。
塩化カルシウムとソーダ石灰の配置を逆にすると、ソーダ石灰が二酸化炭素と一緒に水も取り込んでしまい
バラバラに取り出すことが困難とため、操作としては不適切である。
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
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