【高校化学】水酸化ナトリウムはなぜシュウ酸標準溶液で滴定する必要があるの?【中和滴定・実験考察】
高校化学の1番の定番の実験は、中和滴定。
中和滴定の実験はお酢と水酸化ナトリウムが1番多いですが、なぜか水酸化ナトリウムは「実験の前にシュウ酸標準溶液で滴定する」という操作がありますよね。
今回は、なぜ水酸化ナトリウムは中和滴定の前にシュウ酸標準溶液で滴定しなければいけないのかを徹底解説していきたいと思います。
実験の考察にあたる部分です。ぜひ最後までご覧ください。
⭐︎ 水酸化ナトリウムの性質
シュウ酸標準溶液で水酸化ナトリウムを事前に滴定しなくてはならない理由は、水酸化ナトリウムのとある2つの性質に由来します。
1つ目の理由は、水酸化ナトリウムが潮解性を持つということです。
潮解性とは、(空気中などの)水分を吸い込んで、ビチョビチョになってしまう性質のことです。
水酸化ナトリウムは放置しておくだけでも、空気の水分を吸い込んでしまいます。
空気中の水分を吸い込んでしまうということは、濃度が薄くなってしまうことを示します。
2つ目の理由は、水酸化ナトリウムは塩基なので、酸が近くにあれば中和反応を起こしてしまうということ。
身近にある酸とは、空気中の二酸化炭素です。
水酸化ナトリウムと二酸化炭素は中和反応によって以下の化学反応を起こします。
水酸化ナトリウムが二酸化炭素の中和によって消費されてしまいますので、濃度が薄まってしまいます。
⭐︎ シュウ酸の性質
水酸化ナトリウムと違って、シュウ酸は化学反応に乏しい、安定した物質です。
割と長時間放置しておいても、化学反応を起こしません。
つまり、濃度が変化しません。
なのでシュウ酸は、標準溶液として利用するのに適しています。
※ 標準溶液とは、滴定や測定に用いられる、正確な濃度がわかっている溶液
⭐︎ 結論
水酸化ナトリウムは①潮解性があり、②二酸化炭素と中和反応を起こしてしまうため、濃度が薄まってしまいます。
正確な濃度の水酸化ナトリウム水溶液を作るのはとても難しくなっています。
なので、水酸化ナトリウムを滴定に利用する場合は、安定なシュウ酸標準溶液で、滴定に使う直前に水酸化ナトリウム自身を滴定して正確な濃度を把握しておく必要があります。
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