【高校化学】シリカゲルと水ガラスの構造や性質、違いを徹底解説!製法は?
無機化学の知識問題として頻出なケイ素の化合物。
中でも水ガラスとシリカゲルは製法も複雑で、なかなか覚えるのが大変ですよね。
今回は水ガラスとシリカゲルについて、工業的製法や構造による性質・特徴について徹底解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
⭐︎ シリカゲルと水ガラスとは
まずはざっくりとした言葉の確認からしていこうと思います。
水ガラスとは、ケイ酸ナトリウムを水に溶かしたもので、強い粘性を持ちます。
水ガラスは放置しておくと固まりますので、接着剤(アラビックヤマト)やスーパーボールの原材料としても使われています。
シリカゲルは乾燥剤の一種です。
お菓子に含まれている白い粉末がシリカゲルです。
どちらも身近なものによく使われているので、イメージしやすいのではないかなと思います。
⭐︎ シリガラスの製法の大まかな流れ
材料からシリカゲルが生成するまで、大きく分けると3つのステップがあります。
① 二酸化ケイ素と水酸化ナトリウムを反応させて、ケイ酸ナトリウムを作る過程
② ケイ酸ナトリウムを水に溶かして、水ガラスを作る過程
③ 水ガラスに塩酸を加えて、シリカゲルを作る過程
の3ステップです。
今から1つ1つ細かく確認していきたいと思います。
① 二酸化ケイ素と水酸化ナトリウムを反応させて、ケイ酸ナトリウムを作る
化学反応式は以下のようになります。
この反応の原理を説明していきます。
二酸化ケイ素の化学式はSiO2で、非金属元素の酸化物なので酸性酸化物です。
なので、この式は酸性酸化物と塩基である水酸化ナトリウムの中和反応となっています。
式を見てみると、確かに水と塩が生成していますね。
また、この反応で注意が必要なのは、絶対に加熱が必要な反応であるということ。
二酸化ケイ素は共有結合性の結晶です。
共有結合性の結晶は硬いので、普通の条件だと化学反応が起こせません。
無理やり化学反応を起こすために強熱する必要がある、ということをしっかりと抑えておいてください。
② ケイ酸ナトリウムを水に溶かす
工程①で生成したケイ酸ナトリウムを水に溶かして、水ガラスを作る工程です。
このとき生成した水ガラスは強い粘性を持っています。
③ 水ガラスに塩酸を加えてシリカゲルを作る
3工程目は2つのスモールステップに分けることができます。
まず、先ほど作った水ガラスに塩酸を加えてケイ酸を生成させます。
この反応は、ケイ酸ナトリウム(弱酸の塩)に塩酸(強酸)を加える弱酸の遊離反応となっています。
こうして生成したケイ酸の構造式は以下の通りです。
ケイ酸の構造式はたまに共通テストで出てくるのでわかるようにしておきましょう。
そして、最後にケイ酸を一部脱水させることによってシリカゲルが生成します。
シリカゲルの構造式も問われることがありますので、しっかりと押さえておきましょう。
⭐︎ なぜシリカゲルは乾燥剤として働くことができるのか
シリカゲルが乾燥剤として働くことができる理由は2つあり、構造式を確認すると見えてきます。
理由① 立体的に隙間が多い構造である
構造式を見てみると、シリカゲルは一部のみ脱水しているので、立体的に隙間が多い構造をしています。
物理的に水分子を取り込む隙間があるため、乾燥作用を示します。
理由② ヒドロキシ基を持っているから
先ほど言ったように、シリカゲルは一部のみ脱水しているので、ヒドロキシ基(ーOH)が残っています。
ヒドロキシ基は水素結合を有するので、水素結合によって水分子を吸着することができます。
⭐︎ まとめ
シリカゲルは、
① 二酸化ケイ素と水酸化ナトリウムを反応させて、ケイ酸ナトリウムを作る過程
② ケイ酸ナトリウムを水に溶かして、水ガラスを作る過程
③ 水ガラスに塩酸を加えて、シリカゲルを作る過程
の3ステップで作ることができる。
シリカゲルが乾燥作用を持つのは、
・立体的に空洞が多く
・水素結合を有するため
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
またぜひ、当ブログにお越しください。