化学の偏差値が10アップするブログ

化学の偏差値が10アップするブログ

「原理」をしっかり学ぶことで、皆さんの化学の偏差値を上げる手助けをするブログ。主に高校化学の内容の解説や勉強方法を発信しています。

【高校化学】アニリンの工業的製法を徹底解説!反応式やなぜアニリン塩酸塩ができるの?

 

f:id:nobita_60:20220715112934j:image

 

共通テストなどでも出題されがちなアニリンの製法。

原理がわからず、ただ丸暗記していくのはとても辛いですよね。

 

今回はアニリンの工業的製法について、反応式やよく疑問に抱かれがちな「アニリン塩酸塩ができる理由」などを徹底解説していきたいと思います。

ぜひ最後までご覧ください。

 

 

アニリンの工業的製法の概略

 

アニリン3段階の化学反応によって生成することができます。

 

アニリンの製法の3ステップは以下の通りです。

 

ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸(混酸)を入れて、ニトロベンゼンを合成する

② ニトロベンゼンに濃塩酸とスズ(あるいは鉄)を入れて、アニリン塩酸塩を合成する

アニリン塩酸塩に水酸化ナトリウムを入れて、アニリンを合成する

 

f:id:nobita_60:20220715112946j:image

 

ここからは各段階の細かい原理を確認していきたいと思います。

 

ステップ1  ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸(混酸)を入れて、ニトロベンゼンを合成する

 

ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸といえば、ニトロ化です。

ステップ1では、ベンゼンをニトロ化することによってニトロベンゼンを合成します。

 

ニトロ化は硫酸の脱水作用によって、ベンゼンのH原子と硝酸のOH原子が水分子として抜き取られる反応です。

(※大学の化学以降ではもっと厳密な説明がなされます。)

 

f:id:nobita_60:20220715112959j:image

 

ステップ2 ニトロベンゼンにスズ(鉄)と塩酸を入れて、アニリン塩酸塩を合成する

 

この反応はニトロベンゼンが還元される反応になっています。

スズ(あるいは鉄)は金属元素の単体で還元剤ですので、これらの作用によってニトロベンゼンが還元されます。

この時、塩酸は触媒の役割をしています。

 

還元というのは、酸素が外れること。そして、水素がくっつくことも還元といいました。

触媒なしだと酸素が外れるところまでしか起こりませんが、触媒である塩酸のおかげで水素がくっつくところまで還元が進行します。

 

f:id:nobita_60:20220715113013j:image

 

ここで、いったん目的物であるアニリンになります。

ただし、アニリンは弱塩基性物質ですので、触媒の塩酸(酸性物質)と中和反応を起こしアニリン塩酸塩になってしまいます。

 

f:id:nobita_60:20220715113024j:image

 

アニリン塩酸塩ができる理由は、いったん生成したアニリンと触媒である塩酸が中和反応が起こってしまうからです。

 

ステップ3 アニリン塩酸塩に水酸化ナトリウムを入れて、アニリンを生成する

 

アニリン塩酸塩は先述の通り、アニリン(弱塩基)と塩酸(強酸)の中和反応によって生成した弱塩基の塩になっています。

なので、水酸化ナトリウム(強塩基)を加えてあげることによって弱塩基の遊離反応を起こします。

 

f:id:nobita_60:20220715113037j:image

 

アニリン塩酸塩と水酸化ナトリウムの弱塩基の遊離反応によって、弱塩基であるアニリンが生成します。

 

まとめ

 

アニリンは、

ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸(混酸)を入れて、ニトロベンゼンを合成する

② ニトロベンゼンに濃塩酸とスズ(あるいは鉄)を入れて、アニリン塩酸塩を合成する

アニリン塩酸塩に水酸化ナトリウムを入れて、アニリンを合成する

の3段階の反応で生成する。

 

アニリン塩酸塩が生成する理由は、一度できたアニリンと塩酸が中和反応を起こしてしまうから。

 

化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。

またぜひ、当ブログにお越しください。