【高校化学】エステル化・エステルの加水分解・けん化についてわかりやすく徹底解説!
複雑な構造決定問題でよく出てきやすいエステル。
薬学部や医学部など、難関大学の化学を制するには避けては通れない官能基ですよね。
今回はエステルの有名な化学反応であるエステル化・加水分解・けん化について、原理をふまえながらわかりやすく解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
⭐︎ エステルとは
エステルとは、次のような構造を持つ官能基となっています。
エステルには有名な代表が①エステル化、②加水分解、③けん化と3つありますので、しっかりと確認していきましょう。
⭐︎ エステル化
エステル化とは、カルボン酸とアルコールが反応してエステルと水ができる反応をいいます。
ようするに、カルボン酸の持つOHとアルコールの持つHの脱水反応がエステル化となっています。
カルボン酸とアルコールの脱水反応なので、
「アルコールとカルボン酸を混ぜて濃硫酸を加えて反応させた」(濃硫酸は脱水剤としてよく利用される)
「アルコールとカルボン酸を混ぜて加熱した」(加熱で水分子を抜くことができる)
などの文章を見たら、エステル化を疑うようにしましょう。
また、化学反応式でエステル化を表すと下のような式になります。
ここで押さえてほしいのは、エステル化は「可逆反応」だということ。
これを踏まえながら、次は加水分解反応についてみていきたいと思います。
⭐︎ エステルの加水分解反応
エステルに水を加えて、カルボン酸とアルコールに分解する反応をいいます。
ようするに、エステル化の逆反応がエステルの加水分解となっています。
なのでエステルに水を加えれば、ルシャトリエの法則的に水が減る方向であるエステル化の逆方向に平衡が移動します。
エステルの加水分解は、エステル化の逆反応だからアルコールとカルボン酸が生成するってことをしっかりと覚えておきましょう。
⭐︎ けん化
けん化とは、水を加える代わりに強塩基を使ったエステルの加水分解反応となっています。
ここで使う塩基は主に、水酸化ナトリウムか水酸化カリウムのどちらかとなっています。
まだピンと来ないと思うので、しっかりと確認していきましょう。
エステル化の逆反応が加水分解で、加水分解の水部分を塩基に変えたのがけん化です。
通常、エステル化と加水分解反応は平衡状態になっていますので、どちらかのみを一方的に進行させることはできません。
ただし、塩基を使って加水分解を行う「けん化」は、一方的に加水分解反応を起こすことができます。
なぜ、塩基を使うと一方的に加水分解反応をするのかというと、先程の平衡の式には酸であるカルボン酸が存在しています。
カルボン酸に塩基を加えると、当然中和反応が起こります。
塩基との中和反応によってカルボン酸がどんどん消費されていくのです。
するとルシャトリエの原理的に、カルボン酸が増える方向へと平衡が移動していきます。
エステル化と加水分解反応の平衡は、塩基を加えることによって加水分解をする方向へと大きく偏るのです。
よって、けん化とは水の代わりに塩基を使うことによって、エステルの加水分解を不可逆的に起こすことだといえます。
また、けん化によって生じたRーCOONaをセッケンといいます。(あの手を洗うセッケンです。)
セッケンを作るから「けん化」ということも合わせて覚えておきましょう。
⭐︎ まとめ
エステル化とは、アルコールとカルボン酸を脱水してエステルを作ること。
加水分解とは、エステルに水を加えることによって、カルボン酸とアルコールに分解すること。エステル化の逆反応。
けん化とは、水の代わりに強塩基を使ったエステルの加水分解反応である。
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