【高校化学】緩衝液の原理を例を挙げて、簡単に解説!なぜpHが一定に保たれるの?
電離平衡からの、緩衝液。
初めて授業で習ったとき、難しくて意味がわからない!と頭を悩ませた人も多いはず。
今回は、そんな複雑でややこしい緩衝液の原理を
なるべくわかりやすく、簡潔に説明していこうと思います。
難しい範囲なだけあって、差がつきやすい範囲です。
ぜひご覧になっていってください。
☆ 緩衝液とは
緩衝液とは、
酸(水素イオン)や塩基(水酸化物イオン)を加えても、pHを一定に保つ性質を持つ溶液のことをいいます。
緩衝液は、
弱酸とその塩(例:酢酸と酢酸ナトリウムなど)
を混合することによって作ることができます。
入試問題には、わざわざその溶液が「緩衝液」であることを明言してくれないことも多いので、
この組み合わせを見たら、自分で「緩衝液だ!」と気づけるようになってください。
☆ 緩衝液の前提条件
なぜ酸や塩基を加えてもpHを変化しないのかという話の前に。
まずは緩衝液(弱酸とその塩の混合溶液)がどのような状態で存在しているのかを、しっかりと確認していこうと思います。
今回は、1番よく入試で見かける定番の緩衝液である
酢酸と酢酸ナトリウムを例に説明していきたいと思います。
ビーカーに酢酸と酢酸ナトリウムが入っているとします。(緩衝液)
上の図のように、酢酸は弱酸なので電離平衡状態、酢酸ナトリウムは塩なので完全に電離をしています。
塩(酢酸ナトリウム)が完全に電離している、というのが大切なポイントです。
酢酸は弱酸なので、水溶液中では電離平衡の状態として成り立っているのでした。
酢酸分子の一部が電離をして、酢酸イオンと水素イオンになっています。
ここでもう一つ大切なポイントです。
酢酸分子の電離平衡は、酢酸ナトリウムが電離して放出した酢酸イオンによって、
いつもよりも大きく、左向きに偏っている状態です。
言い換えると、酢酸ナトリウムが放出した酢酸イオンによる共通イオン効果によって、
電離平衡は左に偏っている。
すなわち、酢酸分子はほぼ電離していない状態だといえます。
よって、ビーカー内に存在している物質やイオンは、
酢酸ナトリウム由来の酢酸イオンとナトリウムイオン、酢酸分子のみとなります。
☆ 緩衝液のpHが一定に保たれる理由
・ 水素イオン(H+)を加えてもpHが変動しない理由
緩衝液の状態をしっかり理解していただいた上で、次は水素イオンを入れてもpHが変動しない理由についてみていこうと思います。
酢酸と酢酸ナトリウムの緩衝液に塩酸などの酸を入れると、どのようなことが起こるでしょうか。
酸を加えるということは、溶液中の水素イオンが増加します。
すると、ルシャトリエの法則により、水素イオンが減る方向へと平衡が移動するので、
酢酸の電離平衡が左へと傾きます。
よって、水素イオンを入れた分だけ、酢酸の電離平衡が左へと進行し、水素イオンが消費されますので、
pHは一定を保たれます。
・ 水酸化物イオン(OH−)を加えてもpHが変動しない理由
次は、塩基を加えた場合になぜpHが変動しないのかを見ていこうと思います。
先ほどと同じ酢酸と酢酸ナトリウムの緩衝液に、水酸化ナトリウム等の塩基を加えたら、どのような反応が起こるかおわかりいただけますか。
塩基と反応するのは、酸です。
酸と塩基はお互いに出会うと、中和反応を起こします。
先ほどの緩衝液のビーカーの中に、塩基と反応できる酸は酢酸しかありません。
塩基を加えた場合は、酸である酢酸分子と中和反応を起こします。
よって、塩基を加えても、加えた分だけ中和反応によって塩基が消費されますので
pHが変動しないということになります。
☆ 緩衝液の例題
最後に、緩衝液のよくあるタイプの例題を取り組んでいきたいと思います。
緩衝液の問題は独特な解法パターンとなっていますので、しっかりと確認していってください。
(例題)
1.0×10-2 molの酢酸と2.7×10-2 molの酢酸ナトリウムを混合して、1 Lの溶液を生成した。
このときの溶液のpHを求めなさい。ただし、酢酸の電離定数を2.7×10-5 とする。
(解説)
酢酸(弱酸)と酢酸ナトリウム(弱酸の塩)の組み合わせなので、緩衝液です。
解説はしたの画像で確認してください。
☆ まとめ
緩衝液とは
酸や塩基を加えてもpHを一定に保つことができる溶液である。
弱酸(弱塩基)とその塩の混合溶液は緩衝作用(緩衝液)を示す。
pHが変動しない理由は
酸(水素イオン)を加えたら、弱酸の電離平衡が分子になる方向へと傾き
塩基(水酸化物イオン)を加えたら、酸との中和反応が起きるため。
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
またぜひ、当ブログにお越しください。