【高校化学】サリチル酸の工業的製法について解説!ナトリウムフェノキシドに二酸化酸素はなぜくっつくの?
医薬品などの材料となり、大量生産できる合成方法が重要となってくるサリチル酸。
工業的製法であるコルベシュミット法を丸暗記したものの、しっくりきてない人はとても多いですよね。
今回はサリチル酸の合成方法について、反応機構や原理から徹底解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
⭐︎ サリチル酸の製法の概略
サリチル酸の工業的製法は2ステップで進行します。
スタートである材料はナトリウムフェノキシドです。
丸暗記するのではなく、段階ごとに原理からしっかりと確認していきたいと思います。
⭐︎ 工程1 ナトリウムフェノキシドからサリチル酸ナトリウムへ
工程1では、ナトリウムフェノキシドを高温・高圧下で二酸化炭素と反応させることで、サリチル酸ナトリウムが生成します。
高温・高圧条件下というのが大切なので押さえて置いてください。
まず二酸化炭素の炭素は電気陰性度の違いにより、マイナスに少しだけ帯電している状態です。
普通の圧力や温度ではナトリウムフェノキシドと二酸化炭素は反応することはできませんが、高温・高圧にすることによって無理やり反応することが可能です。
高温・高圧で押さえつけることによって、プラスに帯電している二酸化炭素の炭素原子がベンゼン環に攻撃を仕掛けるのです。
その結果、ナトリウムフェノキシドはオルト位の配向性を持ちますので、オルト位に位置する水素イオンが脱離し、
二酸化炭素の二重結合の1つが切れて、ベンゼンに置換する反応が起きます。
脱離した水素イオンはプラスの電荷を持っているので、マイナスに帯電している酸素原子とくっつきカルボン酸になります。
これで1つのベンゼン環にフェノールの塩(ナトリウムフェノキシド部分)とカルボン酸が共存している状態になります。
酸の強さはカルボン酸>>>フェノールですので分子内遊離反応を起こし、フェノールが分子に、カルボン酸がナトリウム塩になります。
⭐︎ 工程2 サリチル酸ナトリウムからサリチル酸へ
サリチル酸ナトリウムは先述の通り、フェノールのオルト位にカルボン酸のナトリウム塩がついたものです。
カルボン酸はフェノールよりは強い酸ですが、基本的には弱酸ですので、サリチル酸ナトリウムに強酸を加えることで弱酸の遊離反応を起こすことができます。
サリチル酸ナトリウムの弱酸の遊離反応には硫酸を用いることが多いです。
これでサリチル酸が完成となります。
⭐︎ まとめ
サリチル酸の合成は以下の2ステップである。
高温・高圧なのは二酸化炭素とナトリウムフェノキシドを無理やり反応させるため。
コルベシュミット法では弱酸の遊離反応が利用されている。
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