【高校化学】親水コロイドと疎水コロイドとは。なぜ塩析と凝析が起こるのか簡単に説明してみた。価数の話も
塩析と凝析。
どっちが親水コロイドでどっちが疎水コロイドなのか、多量なのか少量なのか、頭の中でごちゃ混ぜになってしまいますよね。
今回は塩析と凝析について、原理をわかりやすく解説していきたいと思います。
原理がわかれば考えてわかるようになると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
⭐︎ 塩析とは
塩析とは、親水コロイドに多量の電解質を加えることで、コロイド粒子を析出させることをいいます。
「親水コロイド」と「多量」というのがポイントです。
親水コロイドは、水に溶けやすいコロイド粒子のことをいいます。
もっというと、親水コロイドは極性が強いので水分子と水和して存在しています。
水分子とくっついている=溶けているという状態です。
この溶けている状態から、析出(=固体が出てくる)状態にするには、水分子をコロイド粒子から剥がしてあげる必要があります。
親水コロイドが溶けている(=水がくっついている)状態に少し電解質を加えても、コロイド粒子が水分子を引っ張る力の方が強いので、コロイド粒子から水分子は離れません。
電解質を大量に加えると、電解質が水分子を引っ張る力の方がコロイドが水分子を引っ張る力より強くなり、コロイド粒子から水分子が離れます。
水分子からコロイド粒子が離れる=溶けている状態じゃなくなった、なので、コロイド粒子の結晶が析出するのです。
これが塩析の原理となっています。
⭐︎ 凝析とは
凝析とは、疎水コロイドに少量の電解質を加えることでコロイド粒子が析出することをいいます。
「疎水コロイド」と「少量」というのがポイントです。
疎水コロイドは、水には溶けづらいコロイド粒子のことをいいます。
疎水コロイドの身近な例としては絵の具(を水に溶かしたもの)などがあります。
絵の具は一見水に溶けているように見えて、親水コロイドかなと思いますよね。
絵の具が水に溶けているように見えるのは、絵の具のコロイド粒子が分散していて、一見溶けているように見えているだけです。
コロイド粒子は正または負の電荷を持っているので、同じ符号を持った疎水コロイド粒子同士が反発し、分散している状態で存在します。
この分散している疎水コロイドがまとまって集合すれば、疎水コロイドは析出するのです。
疎水コロイドに電解質を少し加えると、持っていた電荷が中和され、分散していたコロイド粒子が集合していきます。
これが少量の電解質で疎水コロイドが集合して析出する、凝析という現象になっています。
⭐︎ 1番効率よく凝析をするためには
凝析は、コロイド粒子と異符号の電荷を加えることでコロイド粒子の電荷が弱まり、集合して析出する現象でした。
当然ですが、コロイド粒子の持っている電荷と反対の電荷をたくさん持ったものを加えることで、効率よく凝析を行うことができます。
例えば、水酸化鉄(Ⅲ)は正の電荷を持つコロイドです。
硫酸、塩酸、硝酸、リン酸のどれが1番効率よく水酸化鉄(Ⅲ)の凝析を行えるかというと、1番陰イオンの電荷が大きいリン酸になっています。
(画像)
⭐︎ まとめ
塩析とは、親水コロイドに多量の電解質を加えることで、コロイド粒子を析出させること。
凝析とは、疎水コロイドに少量の電解質を加えることでコロイド粒子が析出すること。
凝析をする際は、コロイド粒子の持つ電荷と反対の電荷の価数が1番大きい電解質を選択するのが効率が良い。
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
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