【高校化学】銅の工業的製法と精錬をわかりやすく徹底解説!電解精錬の原理は?
10円玉にフライパンなど、銅は様々なものに利用されていますよね。
銅は使い道が多い元素ですので、銅を大量生産するための方法である工業的製法は日常生活においても、とても重要なものとなっています。
今回はそんな銅の工業的製法や、銅の精製方法である電解精錬についてわかりやすく解説していきたいと思います。
ぜひ、最後までご覧ください。
☆ 銅の工業的製法の概要
まずは銅の工業的製法の大まかな流れについて説明していきます。
銅の工業的製法は、大きく2つの工程に分けることができます。
銅の原料は黄銅鉱CuFeS2になっています。
黄銅鉱は鉱山中に多く含まれている物質であり、そこから不純物を取り除くことによって純粋な銅を作っていきます。
黄銅鉱の名前自体も入試で問われることが多いので、しっかりと覚えておきましょう。
銅の工程は
工程1 黄銅鉱を加熱をして、粗銅を作る
工程2 粗銅を電気精錬して、純銅を作る
の2段階です。
ここからそれぞれの工程を丁寧に解説していきたいと思います。
ただ、最初に断言をしておきますが、
銅の工業的製法のメイン(入試で問われる部分)は工程2の電気精錬ですので、工程1は参考程度に、工程2は原理を含めてしっかりと対応できるように学んでいきましょう。
☆ 工程1 黄銅鉱から粗銅を作る
黄銅鉱を転炉に入れ、酸素を吹き込みながら加熱をすると、硫化銅が生成します。
ここで発生した二酸化硫黄SO2は気体ですので熱風によって飛んでいきますが、
もう一つの不純物であるFeSiO3は固体ですので、スラグという形で下に沈殿します。
下にたまったスラグを取り除くことで、硫化銅のみを取り出すことができます。
その後、転炉内に酸素を吹き込むことによって、下のような化学反応式で表すことのできる反応が起こります。
この反応により生成する銅Cuが粗銅(そどう)であり、粗銅には多くの不純物が残っています。
☆ 工程2 粗銅を電気分解して純銅にする
粗銅には不純物が多く含まれていますので、どうにかしてこれらを取り除かなくてはいけません。
そのための方法を電気精錬と呼び、電気分解の一種となっています。
銅の電気精錬するための装置は、下の図のようなものです。
陽極には粗銅、陰極には純銅(純粋な銅)、電解液は硫酸銅水溶液で電気分解します。
電気分解ですので、ここから陽極、陰極のイオン反応式を作っていきたいと思います。
電気分解の式の作り方はこちら。【高校化学】電気分解の各極のイオン反応式の作り方やルールを徹底解説!フローチャート通りにやれば簡単に作れる - 化学の偏差値が10アップするブログ
・陽極のイオン反応式
陽極のイオン反応式は、①電極を確認する、②電解液を確認する、の順番で作っていくのでした。今回も同じように作っていくと、
① 電極を確認する
→ 電極はPt、C以外である。
→ 電極自身が溶け出す反応が起こる!
よって、陽極のイオン反応式は下のようになります。
・陰極のイオン反応式
陰極のイオン反応式は、①電解液を確認する、という一つの手順のみで作っていくのでしたね。同じように作ってみましょう。
① 電解液を確認する
陽極の反応が起きた時点で、電解槽の中身は上のようになっています。
粗銅は様々な金属が不純物として含まれていたものです。
陽極では電極が溶け出す反応が起きていますので、銅も、不純物の鉄もアルミニウムもイオンとなって溶け出しています。
ただし、ここで注意して欲しいのは、同じく粗銅の不純物である金や銀などはイオン化傾向が極端に小さいので、イオンになれずに粗銅の真下にそのまま沈殿として積み重なっています。
これらの金や銀などの沈殿のことを陽極泥と言い、銅を生成する時の嬉しい副産物となります。
話を戻して。
溶液中に存在しているイオン(+水素)のイオン化傾向の序列を確認してみると、次のようになります。
よって、水素よりイオン化傾向が大きい鉄イオンやアルミニウムイオンは、イオンでいるのが安定なのでイオンのまま
水素よりイオン化傾向が小さい、銅イオンは電子を受け取って銅の単体となり、陽極に析出します。
ここで析出した純度の高い銅のことを純銅といいます。
銅の工業的製法は、もともとあった銅をさらに大きくしていくようなイメージとなっています。
☆ まとめ
銅の原料は黄銅鉱CuFeS2である。
銅の工業的製法は、
① 黄銅鉱を粗銅にする、②粗銅を電気精錬によって純銅にする
の2段階である。
工程2の電気精錬の各極のイオン反応式は次のようになる。
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