化学の偏差値が10アップするブログ

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「原理」をしっかり学ぶことで、皆さんの化学の偏差値を上げる手助けをするブログ。主に高校化学の内容の解説や勉強方法を発信しています。

【化学基礎】イオン化傾向とは何なのかを徹底解説!語呂合わせと使い方もご紹介

 

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イオン化傾向を語呂合わせで覚えたはいいけど、結局どういう風に使うんだろう、何に役立つんだろう…。

そんな風に思う化学学習者は多いはず。

 

今回は、イオン化傾向とはなんなのか、どのように使っていくのか、そして語呂合わせを徹底解説したいと思います。

イオン化傾向は電池の分野でも使う大切な原理となっていますので、ここでしっかりマスターしましょう。

 

 

 

 

イオン化傾向とは

 

イオン化傾向とは、陽イオンになりやすい順に金属を並べたもののことを言います。

 

そこで勘がいい皆さんは、一つの疑問が浮かぶはずです。

「なぜ、金属だけなんだろう?非金属はないの?」

という疑問です。

よく考えてみてください。

 

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周期表です。

全ての元素は安定な希ガスの電子配置に憧れを持っているんでした。

原子というのは、安定な希ガスと同じ電子配置になれるように電子を放出したり受け取ったりして、イオンになります

 

ここで問題です。

陽イオンになりやすいのは、周期表の右側と左側どちらでしたか?

 

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そうです、周期表の左側が陽イオンになりやすいんでしたね。

そして、周期表の左側は金属元素が多くを占めているんでした。

 

イオン化傾向陽イオンへのなりやすさを表した序列です。

基本的には一部のものを除いて、陽イオンになるのは金属元素ですので、

金属元素(+水素)の陽イオンへの序列が、イオン化傾向では表されています

 

 

イオン化傾向の序列と語呂合わせ

・ イオン化傾向の序列と反応性、そして、語呂合わせ

 

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イオン化傾向の序列はこのようになっています。

 

(リチウムを入れる場合)イオン化傾向の語呂合わせ

「利子(Li)付けて貸そうかな、まああてにすんなひどすぎる借金」

というようになっています。(詳しくは上の画像参照です。)

これは呪文のように唱えて、確実に覚えられるようにしてください

 

ここで確認して欲しいのが

イオン化傾向の大小関係 = 反応性の大小関係

だということ。

 

陽イオンになりやすい、ということは

陰イオンを引き付けて、他の物質になりやすい、ということを意味します。

 

なので、イオン化傾向が大きいほど、反応性が大きい

すなわち、水との反応性も空気中の酸素との反応性も、酸への溶解性も大きいです。

 

また、こんなに細かくイオン化傾向を覚えれられない方も多いと思いますが、個人的には全て頭に入れておくことをお勧めします。

なぜかというと、覚えていれば解けるような問題が、共通テストであれ二次試験であれそのまま出題されるからです。

 

ベースは、イオン化傾向=反応性です。

あとは、境目を基準に覚えるようにすると、暗記するのも少しは楽になるのではないかなと思います。

 

 

・ 発展 イオン化傾向の序列の決まり方

 

基本的にここまで入試に問われることはありません。

なぜならイオン化傾向というのは原理ではなく、実験によって求められた測定値に沿って並んでいるからです。

あくまでも測定値。なので、大体の元素は原理と測定値は同じような結果になりますが、ここでお話しする原理とは合致しない金属元素も存在します。そこら辺を頭に入れて、この話を聞いてください。

 

陽イオンになりやすい順に金属を並べたものがイオン化傾向でした。

陽イオンになりやすい、それはつまり、電子を放出しやすい(=電子が原子から外れやすい)ということを意味します

電子が外れやすい順に金属イオンを並べたもの、という風に、イオン化傾向の定義は言い換えることができます

 

そして、電子の外れやすさというのは基本的に

同族元素なら、原子番号が大きいほど(周期表で下に行くほど)電子は外れやすいです

同一周期なら、原子番号が小さいほど(周期表で左に行くほど)電子は外れやすいです。

 

なぜかというと、

まず同族元素の場合、原子番号が大きいと電子殻の枚数が多くなります。

原子核との距離が遠いほど中心からの引力が弱まるので、電子殻が多いほど、中心からの引力は弱い

よって、引力が弱い分電子が外れやすくなります。

 

同じように同一周期で考えていくと、原子番号が小さいほど、電子の数も陽子の数も少なくなりますよね。

すると陽子と電子の数が少ない分、プラスとマイナスの引き寄せ合う力が弱まり、電子が外れやすくなります

 

つまり、周期表でいうと、左下に行けば行くほど、電子が外れやすい

イオン化傾向が大きいです。

 

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もちろん先ほども言ったように、この原理では説明できない部分も多くあります。(リチウムとカリウムとかね。)

しかし、大体はこの法則にしたがって序列が決まっていますので、参考までに知っておくといいかもしれません。

 

※ この話は原子半径の話とかにも応用できます。

 

 

イオン化傾向の使い方

 

イオン化傾向については理解できたと思います。最後に使い方をご紹介します。

 

イオン化傾向が大きいほど、陽イオンになりやすい。つまり、電子を放出しやすい。

よって、2種類以上の金属が同時に存在すると、イオン化傾向が大きい金属から小さい金属へと、電子の移動が起こります

 

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これは電池へと繋がる大切な部分ですので、しっかりと覚えておいてください。

 

また、共通テストではよくこう言った問題が出題されます。

 

(例題)下のような装置は化学反応が起こるか否か。

 

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どう思いますか。答えは、反応が進行する、です。

 

硫酸溶液は、溶液中では硫酸分子ではなく硫酸イオンと水素イオンとして存在しています。

つまり、溶液の中では水素が水素イオンとして存在しているわけです。

そこに、イオンではない単体の亜鉛を入れる。

 

イオン化傾向はZn>H、亜鉛の方がイオンになりやすいのに

亜鉛がイオンじゃなくて、水素がイオンの状態でいるなんて変ですよね。

 

よって、このビーカー内では、

亜鉛がイオンとなって溶け出し、水素イオンが水素分子(水素の単体)に戻るような反応が起きます

 

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☆ まとめ

 

イオン化傾向の大小関係=反応性の大小関係

 

2種類以上の金属がある場合、イオン化傾向が大きい金属がイオン化傾向が小さい金属に、電子を投げつけるような反応が起きる

 

 

化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。

またぜひ、当ブログにお越しください。