【高校化学】アルコールの分子内脱水と分子間脱水の違いや条件は?温度によってなぜ変わるの?【原理】
入試によく出題されるのがアルコールの構造決定問題。
アルコールには「分子間脱水」と「分子内脱水」があり、両者の違いがよくわからない人はとても多いですよね。
今回はアルコールの脱水反応について、原理や温度の条件・覚え方などを徹底解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
⭐︎ アルコールの脱水反応とは
アルコールの脱水反応とは、
アルコール内のヒドロキシ基と、その近くにある水素が水分子として抜ける反応を指します。
アルコールの脱水反応は2パターンあり、「分子内脱水」と「分子間脱水」があります。
この2つの違いについてはしっかりと後述していきますので安心してください。
なお、アルコールの脱水に使われる試薬や方法としては、「硫酸」と「加熱」があります。
「アルコールAを加熱したら化合物Bが生じた」
「アルコールCに硫酸を加えたところ、化合物Dができた」
などという、アルコール+加熱 or 硫酸の組み合わせを見たら、脱水反応が起きたとすぐに紐つけられるようにしておきましょう。
⭐︎ 分子内脱水と分子間脱水の違い
アルコールの脱水反応は、温度によって「分子内脱水」と「分子間脱水」の2パターンに分かれます。
・分子内脱水
分子内脱水が起こる温度は、160度〜170度です。
温度はしっかりと覚えておきましょう。
アルコールの分子内脱水とは、
アルコール分子内のヒドロキシ基と隣の炭素についている水素が水分子として抜けて、二重結合ができる反応を指します。
1つの分子の中で完結しているので「分子内脱水」です。
必ず二重結合が生成するということを、確実に押さえておきましょう。
・分子間脱水
分子間脱水が起こる温度は130度〜140度です。
分子内脱水よりも低い温度で分子間脱水は起こります。
アルコールの分子間脱水とは、
2つのアルコール分子において、1つのアルコールのヒドロキシ基と、もう片方のアルコールのもつヒドロキシ基の水素が水分子として抜けてエーテルが生成する反応を指します。
生成した後の物質はエーテルですので、沸点は低く、元の物質よりも分子量が多くなります。
⭐︎ なぜ温度によって違う反応が起こるのか
同じアルコールの脱水反応なのに、なぜ温度によって違う反応が起こるのでしょうか。
その原理を紐解いていきたいと思います。
まず、前提として全ての物質は温度によって熱運動をしています。
当然ですが、温度が高ければ高いほど、熱運動は激しくなりますよね。
脱水反応は近くにあるヒドロキシ基と水素原子の間でしか起こりません。
温度が高くなると、違う分子のヒドロキシ基と水素原子は物理的に隣り合わせになっている時間が短くなりすぎるため、脱水反応が起こせなくなってしまいます。
同じ分子内でしたら激しく熱運動しても分子ごと移動していますので、常にヒドロキシ基と水素は隣をキープしており、脱水が可能となります。
温度が高いと、熱運動が激しすぎて他の分子と脱水ができないから分子内脱水
温度が低いと、動きが穏やかなので他の分子と脱水できるようになるので分子間脱水
が起こります。
⭐︎ まとめ
分子内脱水とは、
アルコール分子内のヒドロキシ基と隣の炭素についている水素が水分子として抜けて、二重結合ができる反応
分子間脱水とは、
2つのアルコール分子において、1つのアルコールのヒドロキシ基と、もう片方のアルコールのもつヒドロキシ基の水素が水分子として抜けてエーテルが生成する反応。
分子内脱水は160度〜170度、分子間脱水は130度〜140度で起こる。
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
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