【高校化学】ベンゼンの付加反応はなぜ起こりにくいの?ベンゼンの反応性の原理を徹底解説!
ベンゼンの有名な反応といえば置換反応。
なんとなくそれは知っているけど、なぜ付加反応ではなく置換反応が起こるのかを理解している人は少ないですよね。
今回はベンゼンが付加反応を起こしづらい理由について、ベンゼンの構造を確認しながら解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
⭐︎ ベンゼンの反応性について
ベンゼンは、付加反応(二重結合が切れて、余った手に原子団がつく反応)よりも置換反応(ある原子が他の原子団に置き換わる反応)の方が起こりやすくなっています。
付加反応はよっぽど条件を整えてあげない限り、起こらないんですね。
今回はその理由についてしっかり解説していきたいと思います。
⭐︎ ベンゼンの構造について
付加反応を起こさない理由を理解するためには、しっかりとベンゼンの構造を確認していく必要があります。
ベンゼンというのは、以下のような構造式を持つ物質でした。
構造式上は、炭素間二重結合と単結合が繰り返されている構造となっています。
また、アルケンの時に学習した通り、二重結合の2本目のパイ結合は立体的に飛び出したような構造を持つのでしたね。
ベンゼンの構造をシグマ結合(1本目の結合)とパイ結合を区別して書き表すと以下のようになります。
ベンゼンは二重結合と単結合が交互に並んでいるので、立体的に飛び出したパイ結合がつながっているかのような立体構造をとります。
「ベンゼンはパイ結合が全て繋がっている。」
これがとても大切なので、しっかりと押さえておきましょう。
⭐︎ ベンゼンに付加反応を起こした場合
それでは「ベンゼンはパイ結合が全て繋がっている。」というのを踏まえた上で、ベンゼンに付加反応を起こしてみたいと思います。
付加反応とは、二重結合が切れて、余った手に原子団がくっつく反応です。
もっと厳密にいうと、立体的に飛び出しているパイ結合の電子を攻撃することで、二重結合が切れることによって起こる反応が付加反応です。
なので、付加反応を起こすには、パイ結合の電子を攻撃する必要があります。
例えば、塩素分子1つとベンゼンの付加反応を試みてみましょう。
塩素分子がベンゼンのパイ結合にある電子に攻撃を仕掛けようとします。
しかし、ベンゼンのパイ結合は繋がっているため、パイ結合にある電子は塩素分子から逃げることが可能です。
ベンゼンは、付加反応を起こすために電子を攻撃しようとしても、パイ結合がつながっているため電子に逃げられてしまうのです。
電子に逃げられてしまって攻撃することができないため、ベンゼンは付加反応が起きづらいといえます。
⭐︎ 条件が揃えば付加反応を起こすことも可能
ベンゼンが付加反応できない理由は、パイ結合がつながっていて電子に逃げられてしまうからでした。
裏を返せば、電子が逃げられないようにすれば付加反応を起こすことが可能です。
どうやって、電子がにげられないようするのかというと、攻撃を仕掛ける物質を増やせばいいのです。
具体的にいうと、ベンゼン:攻撃する物質=1:3のとき、ベンゼンは付加反応を起こします。
3つの分子があらゆる方向から攻撃することで、電子の逃げ場所をなくしているのですね。
ベンゼンが付加反応を起こすためには、ベンゼン1に対して3の攻撃物質が必要だということを押さえておきましょう。
ベンゼンの付加反応で有名な反応を2つあげておきます。
攻撃する側の係数をしっかりとみておいてください。
⭐︎ まとめ
ベンゼンは付加反応より置換反応が起こりやすい。
理由は、パイ結合がつながっており、電子を攻撃しようとしても電子に逃げられてしまうから。
ベンゼン1に対して、3つの攻撃物質を使うことによって、付加反応を起こすことができる。
化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。
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