化学の偏差値が10アップするブログ

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「原理」をしっかり学ぶことで、皆さんの化学の偏差値を上げる手助けをするブログ。主に高校化学の内容の解説や勉強方法を発信しています。

【高校化学】水素化合物の沸点のグラフについて徹底解説!14族だけなぜ低い?

 

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入試や記述模試で見かけがちな水素化合物の沸点のグラフに関する問題。

記述の模範解答を丸暗記するのではなく、理屈でしっかりと理解していきたいですよね。

 

今回は水素化合物の沸点のグラフについて、入試に出てくるポイントを原理をふまえて徹底解説していきたいと思います。

ぜひ最後までご覧ください。

 

 

⭐︎ 水素化合物の沸点のグラフを読み取るポイント

 

水素化合物の沸点のグラフは以下のようなものが添付されることが多いです。

 

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このグラフにおいて、入試の記述問題で問われやすいポイントが3つあります。

 

① なぜH2O・HF・NH3のみだけ異様に沸点が高いのか

② なぜ14族の水素化合物の沸点が低いのか

③ (H2O・HF・NH3を除いて)なぜ原子番号の増加に伴い沸点が上昇するのか

 

ポイントごとに原理もふまえて解説していきたいと思います。

 

⭐︎ なぜH2O・HF・NH3の沸点が異様に高いのか

 

結論から言ってしまうと、O・F・Nの水素化合物は分子間に水素結合を有するからです。

 

水素とFON(フォン)は電気陰性度の差が極端に大きいので、一般的な分子よりも原子間の電荷の偏りが大きくなります。

 

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すると各原子が通常よりも大きくプラスとマイナスに帯電するので、静電気力も大きくなるのです。

この通常よりも大きい分子間力を水素結合といいます。

 

H2O・HF・NH3は水素結合を持っている分、分子同士の結合力が大きくなります。

するとバラバラになりづらくなるので、沸点が大きくなります。

 

⭐︎ なぜ14族の水素化合物の沸点が低いのか

 

結論から言います。

14族は無極性分子で静電気力が働かないので沸点が低く、それ以外の15・16・17族は極性分子で静電気力が働くので沸点が高くなります

 

分子の極性は、分子の形(と電気陰性度の差)で決まっているのでした。

 

具体的に言うと、

正四面体形や直線形の場合は無極性分子で、折れ線形や三角すい形は極性分子となっています。

 

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17族の水素化合物は違う原子同士の2原子分子なので極性分子です。

16族の水素化合物は折れ線形、15族の水素化合物は三角すい形なので極性分子です。

 

一方、14族の水素化合物は正四面体形なので無極性分子となっています。

 

14族のみ静電気力が働かない=バラバラになりやすいので

沸点が低くなっています。

 

⭐︎ なぜ原子番号の増加に伴い沸点が上昇するのか

 

原子番号が高くなると、分子量も大きくなります。

分子量が大きくなるとファンデルワールス力も大きくなるため、原子番号の増加に伴い沸点も上昇します。

 

ファンデルワールス力とは、瞬間的な電荷の偏りによるプラスマイナスの引力のことをいいました。

 

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分子量が増えると電子の数が増えるので、瞬間的な電荷の偏りも大きくなります。

よって、分子量が増えるとファンデルワールス力が大きくなり、バラバラになりづらくなるので沸点が上昇します。

 

⭐︎ まとめ

 

水素化合物の沸点のグラフで聞かれるポイント3つ

 

① なぜH2O・HF・NH3のみだけ異様に沸点が高いのか

→水素結合を有するから

② なぜ14族の水素化合物の沸点が低いのか

→14族のみ無極性分子だから

③ (H2O・HF・NH3を除いて)なぜ原子番号の増加に伴い沸点が上昇するのか

→分子量が増えるとファンデルワールス力が増加するから

 

化学の偏差値10アップを目指して、頑張りましょう。

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