【無機化学】アンモニアの工業的製法であるハーバーボッシュ法をわかりやすく徹底解説!
最もよく耳にする化学物質の一つとして、アンモニアという物質があります。
アンモニアは炭酸ナトリウムなどの工業的製法の原料にもなっており、大量生産をしなくてはいけない物質となっています。
今回は、そんなアンモニアを工業的に生成する方法である
ハーバー・ボッシュ法について、わかりやすく徹底解説していきたいと思います。
記述問題で問われやすい分野です。
ルシャトリエの原理を絡めながら、しっかりと原理と向き合っていきましょう。
☆ ハーバーボッシュ法とは
ハーバーボッシュ法とは、ハーバーさんとボッシュさんが2人で開発した
窒素と水素の単体を直接化合して、アンモニアを作る方法となっています。
ハーバーボッシュ法は今日においても、アンモニアの工業的製法として活躍しています。
ハーバーボッシュ法で確認しなくてはいけない点は
「いかにして安定な窒素と水素を直接化合したのか」というものです。
特に窒素分子は三重結合でしっかりとつながっており、少しのエネルギーではびくともしません。
安定な窒素をどうにかしてアンモニアまで持っていくための条件について、詳細を確認していきましょう。
☆ ハーバーボッシュ法の詳細な条件
ハーバーボッシュ法の化学反応式は次のようになっています。
触媒は四酸化三鉄です。語句問題で問われることがありますので、触媒の物質名はしっかりと覚えておきましょう。
・ 圧力の条件について
安定な窒素を反応させてアンモニアにするためには、どうにかして平衡をアンモニアが生成する方向、すなわち右向きへと持っていかないといけません。
ハーバーボッシュ法の場合、高圧にすれば平衡は右へと移動します。
ハーバーボッシュ法の化学反応式において、反応物の分子の数は4分子、生成物の分子の数は2分子となっています。
高圧にすれば、平衡は圧力を下げる方向へと反応が進行します。
すなわち、分子数が下がる方向です。
よって、高圧にすることによって、分子数が下がる方向であるアンモニアが生成する反応を促進することができるのです。
・ 温度の条件について
先にお伝えしますが、温度の条件についてはルシャトリエの原理とは反する条件になっています。
ハーバーボッシュ法では、高温にて化学反応を進行させます。
本来、ハーバーボッシュ法は発熱反応なので、
低温にした方が、ルシャトリエの原理的には温度が上昇する方向、すなわちアンモニアを生成する方向へと反応が進みます。
しかし、低温だと反応速度が遅くなってしまい、平衡状態に到達するのにとてつもない時間がかかってしまうため
ハーバーボッシュ法においては、反応速度を高めることを重視して、高温にて化学反応を起こしています。
間違えやすい部分でありますので、しっかりと確認しておきましょう。
☆ まとめ
ハーバー・ボッシュ法とは、
本来は反応しづらい安定な窒素分子と水素分子を直接化合させて、アンモニアを生成する工業的製法である。
ハーバー・ボッシュ法では、高温・高圧にて化学反応を進行させる。
(ルシャトリエの原理的には低温が適しているが、反応速度を優先したため高温で反応させている。)
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